相続財産に土地が含まれる場合、1つの土地をそのまま相続するのではなく、土地を分筆してそれぞれの土地を相続する方法があります。ただし、土地を分割した結果、土地の形が不整形になり、土地の価格が下がってしまうケースもあるので、注意が必要なポイントです。
このコラムでは、不動産相続において土地を分割する際のメリット・デメリット、注意点について解説します。
1.不動産相続と土地の分筆
土地は「1筆」「2筆」と数え、土地を分割して1筆として地番を付けて登記することを「分筆登記」といいます。 逆に、複数の土地を一つにまとめることを「合筆」といいます。
ローンが残っている状態(抵当権付き)であっても土地の分筆は可能ですが、分筆した土地全てに抵当権が設定されることになりますのでご注意ください。
土地の一部を分筆して売却する場合は、ローン契約をしている金融機関の許可を得て、「抵当権消滅(一部抹消)承認証明書」を法務局に提出することで、抵当権が抹消されたものとして土地を売却することができます。
相続で土地を分筆する場合の事例を紹介します。
・スムーズに遺産分割をしたい。
・土地が広すぎて買い手が見つからない。
・土地の一画に建物を建てたいと思っている。
例えば、相続財産が土地だけの場合、土地を分割して各相続人の単独名義にすることで、遺産分割がスムーズになります。
また、郊外の土地は広すぎて買い手が見つからない場合もありますが、土地を分筆することで、宅地として活用できる買い手候補が見つかるかもしれません。
さらに、親が所有していた土地にマイホームや賃貸住宅を建てたい場合には、土地を分筆することで権利関係が簡素化されます。
ローンが残っている状態(抵当権付き)であっても土地の分筆は可能ですが、分筆した土地全てに抵当権が設定されることになりますのでご注意ください。
土地の一部を分筆して売却する場合は、ローン契約をしている金融機関の許可を得て、「抵当権消滅(一部抹消)承認証明書」を法務局に提出することで、抵当権が抹消されたものとして土地を売却することができます。
相続で土地を分筆する場合の事例を紹介します。
・スムーズに遺産分割をしたい。
・土地が広すぎて買い手が見つからない。
・土地の一画に建物を建てたいと思っている。
例えば、相続財産が土地だけの場合、土地を分割して各相続人の単独名義にすることで、遺産分割がスムーズになります。
また、郊外の土地は広すぎて買い手が見つからない場合もありますが、土地を分筆することで、宅地として活用できる買い手候補が見つかるかもしれません。
さらに、親が所有していた土地にマイホームや賃貸住宅を建てたい場合には、土地を分筆することで権利関係が簡素化されます。
2.不動産相続において土地を分割するメリット
相続時に土地を分割することで、分割が容易になる、共有のリスクを回避できるなどのメリットがあります。
・分割しやすい。
・基本的には使い方を変えることができる。
・共有リスクを回避できる。
・分割しやすい。
・基本的には使い方を変えることができる。
・共有リスクを回避できる。
2-1.分割しやすい
土地を分筆するメリットは、相続した土地の分割が容易になることです。特に、土地の利用方法(売却、賃貸等)に関して相続人の間で意見の相違がある場合には、土地を分筆することで各相続人の希望に沿うことができ、トラブルを回避することができます。
2-2.基本的には使い方を変えることができる
土地登記証明書には「地目」という項目があり、住宅地であれば「宅地」、用水を利用して耕作されている土地であれば「田」など、土地の用途が記載されています。土地を分筆して「地目変更登記」の手続きをすることで、それぞれの土地を別の用途に利用することができます。
ただし、建物を建てる場合は建築基準法の「用途地域」によって建てられる建物の床面積や用途が決められているので、必ず役所に確認しましょう。また、登記上の土地が農地(田、畑)の場合は、農業委員会に「農地転用許可」の申請が必要です。
ただし、建物を建てる場合は建築基準法の「用途地域」によって建てられる建物の床面積や用途が決められているので、必ず役所に確認しましょう。また、登記上の土地が農地(田、畑)の場合は、農業委員会に「農地転用許可」の申請が必要です。
2-3.共有名義のリスクを回避できる
土地を共有で保有する場合の大きなデメリットは、所有者全員の許可がなければ売却や賃貸ができないことと、次の相続が発生した際に権利関係が複雑になることです。 相続人の間で意見の相違が生じ、トラブルに発展するケースもあります。
土地を分筆してそれぞれ相続することで、土地は各相続人の単独名義となり、このような共有のリスクを回避することができます。
土地を分筆してそれぞれ相続することで、土地は各相続人の単独名義となり、このような共有のリスクを回避することができます。
3.不動産相続における土地を分筆するデメリット
土地を分筆するデメリットとしては、時間と費用がかかること、固定資産税の負担が増える可能性があることなどが挙げられます。
3-1. 分筆に要する時間と費用
土地を分筆する場合、土地家屋調査士に分割を依頼し、法務局から公図、測量図等を入手し、土地家屋調査士による現地調査に立ち会い、分筆図面を作成し、境界標を設定し、登記手続きを行います。
書類の収集や土地家屋調査士への手数料、登記費用などが相続人にとって負担となる場合があります。また、隣地との境界が明確でない場合は、現地調査や測量により筆界(正式な土地の境界)を明確にする必要があります。
書類の収集や土地家屋調査士への手数料、登記費用などが相続人にとって負担となる場合があります。また、隣地との境界が明確でない場合は、現地調査や測量により筆界(正式な土地の境界)を明確にする必要があります。
3-2.固定資産税負担が増える可能性がある
不動産を所有すると固定資産税がかかりますが、住宅用の土地については軽減制度があります。
3-3.土地の価値が下がることがある
土地を分筆した結果、土地の形が整形地(正方形や長方形の土地)でなくなると、土地の価値が下がる可能性があります。
注意しなければならないのは、その土地に面している道路との関係です。建築基準法では、土地に建物を建てる場合、原則として幅員4m以上、幅2m以上の公道に面しなければなりません。土地を分筆した結果、再建築ができなくなる恐れがあります。
注意しなければならないのは、その土地に面している道路との関係です。建築基準法では、土地に建物を建てる場合、原則として幅員4m以上、幅2m以上の公道に面しなければなりません。土地を分筆した結果、再建築ができなくなる恐れがあります。
4.土地を分筆する際の注意事項
土地を分筆する場合は、接道義務や土地境界に注意してください。
4-1.建物を建築する土地には接道義務がある
建築基準法では「建築物を建てる土地は原則として道路に2m以上接しなくてはいけない」(接道義務)と定められています。
土地に建物を建てる場合は、分筆計画を立てる際に接道義務に注意しましょう。建物の用途や規模によっては、さらに道路幅員に制限がある場合があります。需要や使い勝手を考慮して分筆する必要がありますので、専門家に相談するなど慎重に検討しましょう。
土地に建物を建てる場合は、分筆計画を立てる際に接道義務に注意しましょう。建物の用途や規模によっては、さらに道路幅員に制限がある場合があります。需要や使い勝手を考慮して分筆する必要がありますので、専門家に相談するなど慎重に検討しましょう。
4-2.分筆ができない土地がある
境界があいまいで正確な面積が不明な土地は分筆ができません。土地の所有者の申請により、筆界調査委員(外部の専門家)の意見を聞きながら筆界特定登記官が筆界を特定する「筆界特定制度」という制度があります。必要に応じて法務局に問い合わせてご利用ください。
筆界特定とは、筆界を新たに確定することではなく、筆界調査委員が現地調査・測量に基づき、本来の筆界を明らかにすることです。申請料や測量費は必要ですが、公的により土地の境界を明確にし、土地を分筆することができます。
筆界特定とは、筆界を新たに確定することではなく、筆界調査委員が現地調査・測量に基づき、本来の筆界を明らかにすることです。申請料や測量費は必要ですが、公的により土地の境界を明確にし、土地を分筆することができます。
4-3.他の遺産分割方法との比較
土地を分筆して相続する遺産分割の方法を「現物分割」といいます。遺産分割の方法には、現物分割のほか、代償分割、換価分割などがあり、土地を分筆する前に、これらの分割方法を比較・検討することが重要です。
特に、土地の利用目的が定まっていない場合や、土地の売却を検討している場合には、分筆を行わずに換価分割を行うことで、相続財産の資産価値を守ることができる場合があります。また、誰かが代わりに相続する場合には、代償分割により公平性を保ちながら土地を相続することができます。
このように、他の分割方法を選択することで、分筆によるデメリットを回避できる可能性があります。他の遺産分割方法と比較し、相続人同士で話し合って検討するとよいでしょう。
なお、不動産を相続する際には、公平性を確保するために土地の時価を確認することが重要です。
特に、土地の利用目的が定まっていない場合や、土地の売却を検討している場合には、分筆を行わずに換価分割を行うことで、相続財産の資産価値を守ることができる場合があります。また、誰かが代わりに相続する場合には、代償分割により公平性を保ちながら土地を相続することができます。
このように、他の分割方法を選択することで、分筆によるデメリットを回避できる可能性があります。他の遺産分割方法と比較し、相続人同士で話し合って検討するとよいでしょう。
なお、不動産を相続する際には、公平性を確保するために土地の時価を確認することが重要です。
5.土地を分筆する場合の流れ
実際に土地を分筆する流れは以下のとおりです。
5-1.土地家屋調査士の選定と依頼
土地家屋調査士を選定し、土地の分筆を依頼します。分筆には専門的な知識と高度な作業が必要となるため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
5-2.土地情報調査と情報収集
土地家屋調査士は、法務局や市町村役場に出向くか、インターネットから以下の書類を入手し、以下の事項を確認します。
・登記事項証明書
・地積測量図
・公図
・道路境界明示図など
・登記事項証明書
・地積測量図
・公図
・道路境界明示図など
5-3.現地の確認と測量
土地家屋調査士が分筆予定の土地の現地調査を行います。 具体的に、既存の境界標を確認し、現地を測量します。
5-4.関係者全員で境界を立会い確認する
関係者の立ち会いのもと、既存の境界標の位置と新たに設置する境界標の位置を確認します。利害関係者は、分筆する土地の所有者、隣接する土地の所有者、政府関係者などです。
5-5.境界確定測量
立会いや境界確認をもとに、境界確定測量を実施します。まだ境界確認書を交わしていない場合は、境界確認書を作成し、隣地所有者に署名・捺印をもらいましょう。
5-6.分筆案の作成
土地の境界が確定したら、土地家屋調査士が土地の分筆案を作成します。建築士や不動産会社などと相談し、最適な部門を検討してください。
5-7.境界標の設置
分筆方法が決まったら、土地家屋調査士に敷地内の必要な場所に境界標を設置してもらいます。
5-8.分筆登記書類の作成と申請
境界標の設置が完了したら、土地家屋調査士が登記に必要な書類を作成し、分筆登記書類を法務局に提出します。
以上が土地を分筆する流れです。 分筆により土地の所有権が変わる場合には、司法書士に所有権移転手続きを依頼する必要があります。
以上が土地を分筆する流れです。 分筆により土地の所有権が変わる場合には、司法書士に所有権移転手続きを依頼する必要があります。
6.土地を分割する際にかかる費用
土地分筆にかかる費用の平均は、土地面積が100㎡程度の場合、10万円~45万円です。 土地面積が広い場合は高額になるので費用は事前に確認した方が良いでしょう。
分筆費用は土地の面積や隣地の数によって異なりますので、詳しく知りたい場合は土地家屋調査士に見積もりを依頼してください。
分筆費用は土地の面積や隣地の数によって異なりますので、詳しく知りたい場合は土地家屋調査士に見積もりを依頼してください。
7.分筆して土地を売却する際の注意点
土地を分筆して売却する際の注意点をいくつかご紹介します。
7-1.既存不適合建築物にご注意!
既存不適合建築物とは、建設当時は合法であったが、現在の法律では違法となった建築物です。
土地の分筆方法によっては、対象となっていた既存建物が不適格となる場合があります。 既存建物が不適格となった場合、同じ建物を建て直すことができなくなり、銀行の担保評価が低下するリスクがあるので注意が必要です。
土地の分筆方法によっては、対象となっていた既存建物が不適格となる場合があります。 既存建物が不適格となった場合、同じ建物を建て直すことができなくなり、銀行の担保評価が低下するリスクがあるので注意が必要です。
7-2.分筆できないケース
土地を分筆できない場合もあります。主な内容は以下の通りです。
・分筆が条例で禁止されている
・一筆の土地の最低面積が条例で定められている
・土地面積が0.01㎡未満となる
・隣地の所有者と境界紛争がある
地域の景観を守るなどの理由で、条例で分筆が制限されている場合があります。分筆を検討する際は、必ず事前に規定を確認してください。
隣地所有者と境界紛争が生じた場合、紛争が解決しない限り境界を確定することはできず、不動産を分筆することはできません。隣地所有者の所在地が不明で境界が確定していない場合も同様です。
・分筆が条例で禁止されている
・一筆の土地の最低面積が条例で定められている
・土地面積が0.01㎡未満となる
・隣地の所有者と境界紛争がある
地域の景観を守るなどの理由で、条例で分筆が制限されている場合があります。分筆を検討する際は、必ず事前に規定を確認してください。
隣地所有者と境界紛争が生じた場合、紛争が解決しない限り境界を確定することはできず、不動産を分筆することはできません。隣地所有者の所在地が不明で境界が確定していない場合も同様です。
7-3.魅力のない土地にしないこと!
土地を分筆するときは、できるだけ整形地になるようにしましょう。整形地は高く売却することができますし、建物を建てる場合、設計の自由度も高くなります。
土地に魅力がない場合、売却までに時間がかかったり、全く売れなかったりする可能性があります。土地を分筆して売却したり、建物を建築することを検討している場合は、不動産会社や建築士に分筆方法について相談してから進めましょう。
土地に魅力がない場合、売却までに時間がかかったり、全く売れなかったりする可能性があります。土地を分筆して売却したり、建物を建築することを検討している場合は、不動産会社や建築士に分筆方法について相談してから進めましょう。
7-4.接道義務を満たすこと
土地を分筆する場合は、分筆後の土地が接道義務を満たしている必要があります。接道義務は建築基準法で定められており、原則として土地の間口が2メートル以上、幅員4メートル以上の道路に接していないと建物を建てることができません。
分筆により接道義務を満たさない土地になってしまうと、建物を建てることができなくなり、資産価値が大きく下がってしまいますので注意してください。
分筆により接道義務を満たさない土地になってしまうと、建物を建てることができなくなり、資産価値が大きく下がってしまいますので注意してください。
8.まとめ
土地の分筆には、分割が容易である、土地の用途を基本的には変更できるなどのメリットがある一方で、手間やコストがかかる、固定資産税の支払いが増える可能性があるなどのデメリットもあります。
土地の分筆については、メリット・デメリットを理解した上で検討することが大切です。
このコラムでは、相続における土地の分筆について解説いたしました。実際の場面で有効に活用していただければ幸いです。
土地の分筆については、メリット・デメリットを理解した上で検討することが大切です。
このコラムでは、相続における土地の分筆について解説いたしました。実際の場面で有効に活用していただければ幸いです。