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”住宅ローンが残っている不動産を売却することは可能?”

”住宅ローンが残っている不動産を売却するための条件は?”

”住宅ローンが残っている不動産を売却するための手続きや方法は?”

など、不動産を売却したいけれど、住宅ローンがまだ残っているから、と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言うと、不動産売却は、住宅ローンが残っていても可能です。

しかし原則的には、残っている住宅ローンを完済して抵当権を外さないと、金融機関は住宅の売却を認めてくれません。

すなわち、住宅ローンが残っている不動産を売却するためには、売却代金と預貯金等で残りの住宅ローンを一括返済することが大前提となります。

住宅ローンが完済できる見通しが立てば、不動産会社に売却を依頼し、売却手続きを進める流れになります。

しかし、”なぜ住宅ローンの残りを一度に返済しなければならないのか?”と疑問を抱かれる方もいらっしゃいます。”不動産の売却はどのように進めればいいのか?” ”住宅ローンの残りを返済できない場合、不動産を売却することはできないのか?” ” なぜ残りの住宅ローンを一括返済しなければならないのか”といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

従って、このコラムでは、

  • 住宅ローンが残っている不動産の売却条件
  • 住宅ローンが残っている不動産の売却手続き方法
  • 残った住宅ローンを売却代金や預貯金で返済できない場合の対処法
  • 住宅ローンが残っている不動産を売却する際の注意点

を詳しく説明し、住宅ローンを残したまま不動産を売却することに関するあらゆる疑問にお答えします。

この記事で、住宅ローンが残っている不動産を売却する条件と方法を理解し、不動産を売却するかどうかの参考にしてください。

1.住宅ローンが残っていても不動産は売れます! 売却に必要な条件とは?

不動産は、住宅ローンが残っていても売却可能ですが、原則として、
●不動産売却したお金で、住宅ローンの残債を一括返済する
●抵当権の抹消をする
ことが必須条件となります。
それぞれについて詳しく説明します。

1-1.不動産売却したお金で、住宅ローンの残債を一括返済する

将来的に長く住むために購入した住宅であっても、生活スタイルの変化や予期せぬ引っ越しによって、住宅ローンを完済する前に手放さなければならなくなるかもしれません。

そのような場合、不動産売却益で残りのローンを完済すれば、住宅ローンが残っていても不動産売却は可能です。

ただし、中古物件の価格は一般的に新築物件よりはるかに安いことが多く、売却代金に貯蓄を上乗せして住宅ローンを一括返済している人も実際には多いです。

したがって、あなたが住宅ローンを完済する前に不動産を売却する場合、まず住宅ローンの残額を正確に把握する必要があります。

そのうえで、物件の価格査定を行い、貯蓄からいくら引き出せるかを計算することで、一括返済が可能かどうかをチェックすることが重要です。

売却益や預貯金などでも残ローンを全額返済できない場合の対策は、第3章で紹介します。

1-2.不動産を売却するには、「抵当権が設定されていない」必要がある。

住宅ローンが残っている不動産を売却するためには、売却代金と預貯金で残りのローンを全額返済しなければならないことを説明しました。

一括返済ではなく、「売却後に残りのローンを支払えばいいのでは」と思う方もいるかもしれないが、住み替えローンの利用や任意売却など、一部のパターンを除いては不可能です。

それは、一括返済によって抵当権を解除しなければ、不動産を売却することができないのが一般的だからです。

そもそも抵当権とは、所有者が住宅ローンの返済が滞った場合に、金融機関がその不動産を売却して住宅ローンの残金を回収する権利のことです。

一般的に、金融機関から住宅ローンを使った場合、抵当権を設定しているはずです。

住宅ローンが支払えず金融機関によって抵当権が行使されると、物件は強制的に競売にかけられ、所有権は第三者の手に渡り、居住者は物件から退去しなければなりません。

抵当権が抹消されていない物件を購入すると、前所有者が抵当権を不履行にした場合、買い手は立ち退きを迫られる可能性があります。

不動産を購入しても「前所有者が住宅ローンの支払いが滞った場合、退去しなければならない」という条件で不動産を購入する人はいません。

また、同じ物件には二重に抵当権を設定することができないため、購入者は住宅ローンを組むことができないというデメリットがあります。

以上のことから、抵当権が残っている不動産を売却する場合、抵当権を抹消するには、原則として住宅ローンを完済しなければなりません。

2.住宅ローンが残っている不動産売却の手順

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合の一般的な流れは以下の通りです。

①売却計画を立てましょう
最初のステップは、売却理由、希望売却価格、売却時期を決めること。

②売却査定を依頼しましょう
不動産会社に査定してもらい、売却予定価格を確認すること。

信頼できる不動産会社か見極めましょう。査定額の根拠、不動産会社の担当者の対応、販売方法などを確認しましょう。
残りの住宅ローンを完済できるかどうかの予測は、ここで行うことができます。

③不動産会社と契約しましょう
不動産会社と契約をします。 できるだけ高く売却してくれる信頼できる不動産会社を選びましょう。

また、不動産会社との契約には主に3つの方法があります。

<不動産会社との契約の種類>
1.一般媒介契約
複数の不動産会社と売買契約を結ぶことができます。

2.専任媒介契約
不動産売却を1社だけに依頼する契約のことです。

3.専属専任媒介契約
専任媒介契約をさらに厳しくした契約のことです。

④売却活動をしましょう
不動産会社を通じて、ポータルサイトへの掲載や、チラシの投函など宣伝活動を行います。

⑤売買契約締結
買い手と売買契約を締結します。契約締結後、手付金を受け取るのが一般的です。

⑥不動産引き渡し
買い手が残金を支払い、売り手が物件の鍵を渡し、引き渡しが完了です。

このとき司法書士が立ち会い、抵当権抹消・所有権移転手続きを行います。

目安としては、不動産会社との契約までに約3ヶ月、売却完了までに約3ヶ月かかるので、売却計画から引き渡しまで約半年かかると考えてください。

ただし、かかる時間は物件や不動産会社の力量によって異なり、例えば人気物件であれば2カ月程度ですべてが終わることもあれば、そうでなければもっとかかることもあります。

不動産会社を通さずにご自身で営業活動を行うことも可能ですが、時間と手間がかかるため、効率的に進めるためにはプロに依頼することをお勧めします。

住宅ローンを残したまま不動産を売却する一般的な流れを紹介しましたが、現在の不動産を売却して新たな不動産を購入する「買い替え」をする人もいるでしょう。

「買い替え」には2つの方法があり、それぞれプロセスが異なります。適切な方法を選ばないと、経済的に苦しむことになりかねないので、必ず確認してください。

「買い替え」における2つの方法について、第3章で紹介していきます。

3.現在の不動産を売却し、新しい不動産を購入する「買い替え」手順

実家や賃貸住宅に引っ越す場合は、第2章で紹介した手続きのように、引っ越しが完了してから、それまで住んでいた不動産を余裕を持って売却すればよいでしょう。

ただし、新しい物件を購入して新しい場所に引っ越す「買い替え」を行う場合、次の2つの方法が考えられます。

・売却先行
・購入先行

それぞれの特徴、メリット、デメリットを詳しく説明します。

3-1.売却先行

現在の不動産を売却してから新しい不動産を購入し、新しい場所に移り住む買い替え方法を「売却先行」と言います。

買い替え物件の場合、「売り先行」で、現住居に住みながら不動産売却手続きを進めるのが一般的です。

現在住んでいる物件の売却価格が決定した後、新たな物件を購入するための資金計画が立てやすいことも、売却先行のメリットの一つでもあります。

しかしその一方で、現住居に留まったまま売却を進める必要があるため、購入希望者への内覧対応の手間や、場合によっては仮住まいを検討する必要が出てくるというデメリットもあります。

3-2.購入先行

購入先行とは、不動産を新たに購入した後、以前入居していた不動産を売却する方法です。

新しい不動産に引っ越してから、以前入居していた不動産売却ができるので、そこに住みながら購入希望者の内覧に対応しなくて済みます。

さらに、新しい物件の購入に急かされることなく、ゆっくりと購入物件を選べるというメリットもあります。

デメリットとしては、新しい物件の住宅ローンと現在の物件の住宅ローンを二重に支払わなければならない可能性が挙げられます。

こうした理由から、二重ローンに耐えられる経済的余裕のある人には、「購入先行」がお勧めです。

4.残りのローンを売却代金や預貯金などで一括返済できない場合の対処方法

ここまででご説明させていただいた通り、住宅ローンが残っていても、売却代金と預貯金で一括返済という条件を満たせば、不動産の売却は可能です。

しかし、「売却予定価格と預貯金を足しても、どうしてもローンを一括返済できない」という人もいるでしょう。

このような場合、基本的には売却を中止し、経済的苦境に陥らないようにローンの支払いを着実に続ける方が良いでしょう。

ただし、条件は厳しいですが、住宅を買い替える場合は、残っているローンを新しいローンにまとめる「住み替えローン」、最後の手段として「任意売却」という選択肢もあります。

・住み替えローン
・任意売却

について説明していきます。

4-1.住み替えローン

新規購入不動産の住宅ローンに上乗せして、現在住んでいる不動産の残りのローンを借りることができるサービスが「住み替えローン」です。「買い替えローン」と呼ばれることもあります。

例えば、現在の住宅ローン残高2,000万円に対して売却益が1,500万円の場合、500万円の住宅ローンが残ることになります。

「住み替えローン」は、住宅ローンの残額500万円と購入金額2,500万円、諸費用150万円を合わせて、総額3,150万円の借り入れができます。

ただし、2つのローンが組み合わされ、返済額も高額になるため、金融機関の審査は当然、住み替えローンの方が厳しくなります。大企業に勤めている、公務員であるなど収入条件が良くないと融資は難しいようです。

しかも、返済額が高額になればなるほど、金融機関にとってはローンの回収が難しく不利になり、そもそも取り扱ってもらえないこともあります。

さらに、住み替えローンの利用には、売却の清算と購入の決済を同日中に行わなければならないため、スケジュールがタイトになるなどのデメリットもあります。

住み替えローンは、今後数十年間、上乗せしたローンを支払い続けることができることを前提に、買い替え時に自己資金を多く用意できない人に適しているでしょう。

4-2.任意売却

どうしても住宅ローン残高を一括返済できない場合、債権者の同意を得て不動産会社に現在の住居を売却してもらうことを「任意売却」といいます。

基本的な考え方は、一括返済が不可能な場合は、住み替えローンを検討するか、不動産を売却せずにローン額を着実に減らしていくことであり、「任意売却」は最終手段と捉えておいたほうが良いでしょう。

任意売却には、通常の売却に比べて次のようなデメリットがあるからです。

・任意売却の場合、売却価格は通常の売却よりも低くなる可能性が高い
・任意売却は住宅ローンをなくすものではない
・債権者の合意が必要であるため、必ずしも任意売却ができるわけではない

任意売却を検討するのは、「住宅ローン残高を全額返済できないが、不動産を売却しなければならない」場合に限られます。

5.住宅ローンが残っている不動産を売却する際の注意点

住宅ローンが残っている不動産を売却する際の注意点としては、以下のようなものがあります。

・不動産の売却には様々な手数料がかかります。
・売却収入と貯蓄で残りの住宅ローンを返済できない場合は、よく考えましょう。

「知らなかったばかりに損をした」ということのないよう、しっかりと確認しましょう。

5-1.不動産の売却には様々な手数料がかかる。

不動産売却には各種手数料がかかることを忘れずに、それなりの資産計画を立てましょう。

売却益で余裕をもって住宅ローンを一括返済できると安心していたら、後で各種手数料がかかり、一括返済ができなくなってしまったということにならないよう、くれぐれもご注意ください。

基本的に不動産売買の各種手数料は、不動産会社に支払う仲介手数料が大半を占め、その他に売買契約書に貼付する印紙税、抵当権抹消のための登録免許税、司法書士報酬などがあります。

一般的に、これは販売価格の3%から5%程度です。

5-2売却益と貯預貯金で残りのローンを完済できない場合は、よく考えよう

住宅ローンが残っている不動産を売却するためには、基本的に残っているローンを一括返済し、抵当権を外すことが必須となります。

住み替えローンや任意売却で一括返済ができない場合、不動産を売却することは確かに可能ですが、どちらも後々経済的に苦しくなることが多いのでお勧めできません。

将来的に資金繰りがつかず、滞納が続くことが確実な場合は、競売になる前に売却を急ぐべきですが、そうでない場合は慎重に考えましょう。

例えば、近々退職して退職金を受け取る予定がある場合や、子供の教育費がかからなくなった場合などは、金融機関に相談して、しばらくの間返済額を減らすこともできます。

売却益と預貯金だけでは残りの住宅ローンを完済できない場合は、売却を急ぐ前に支払いを続ける方法がないか冷静に検討するのが賢明でしょう。

6.まとめ

本コラムでは、

・住宅ローンが残っている不動産売却の条件。
・住宅ローンが残っている不動産売却する手順
・売却益や預貯金等で残りの住宅ローンが返済できない場合の対処法。
・住宅ローンが残っている不動産を売却する際の注意点

について説明しました。

結論として、住宅ローンが残ったまま不動産を売却することは可能ですが、残った住宅ローンを一括返済し、抵当権を抹消することが必須となります。

一括返済できない場合は、住み替えローンや任意売却を利用することも不利な面もあるため、一括返済できない場合は売却せずに返済を続けたほうが無難です。

また、住宅ローンを残したまま不動産を売却する際の手続きや、売却時の注意点などについても説明しました。

このコラムが、住宅ローンを残したまま不動産を売却するかどうかの判断の一助となれば幸いです。